ある日の夕食にサバを食べた時である。
その背中の模様と洛中洛外図の雲、流水紋などの模様、縄文土器や刺青など古代美術の面を埋める線状の模様が似ているのではないかと思った。
サバをはじめ、生物の皮膚模様はチューリングパターンと呼ばれる波の性質を持つ規則でできているとされる。これを念頭に置くと、これら我々の周囲の模様を支配しているのは波の性質ではないかと考えた。
波はほぼ等間隔に広がるが、その分裂の仕方は不規則である。そして波が生み出すものに堆積がある。
堆積物はやがて地層となり、我々はそこから過去の環境を知る。
生物にとって身近で変化しやすい環境の一つに気象がある。
ヒトは天気を予想してきた。今日と似たような気候の明日がくる。一年かけて季節が一周し、一年後には同じような気候になる。
しかし我々は明日がくれば知ることができる天気を事前に知りたいと願う。それは未知に対して働きかけようとする我々の意識というシステムの現れだからだ。
意識はイレギュラーな事態を学習する。それはイレギュラーを反復される日常のパターンの一つに変え対応していくことであるとも考えられないか。このように意識が注意を向けるものは波の性質に似ていないだろうか。
この作品は上記の意図から生まれたメディアアートとしての四季絵である。
気象庁が公開している東京の過去 55年分の気象データと画廊内に設置されたセンサーが読み取った気温・湿度・気圧のデータからリアルタイムに映像と音を作っている。皮膚から感覚すること、記憶と照らし合わせること、記憶すること、予測すること。センサーが感知すること、データとして保存すること、データを検索す ること。
この作品はヒトと機械をオーバーラップさせることで、そういった当たり前すぎて見失ってしまうヒトの認知の力を視覚化・聴覚化する。そして、そう感覚する力がヒトに備わっていることがヒトと機械が高度に融合しうる可能性を示すと考え制作した。
虚構化器官VII
2015.3
サイズ可変
映像インスタレーション
○環境
macbook pro
プロジェクター
openFrameworks
Arduino
脈拍センサー
気温/気圧/湿度センサー