虚構器官という想像上の臓器を一人称としたモノローグと淀川の実写映像を組み合わせた映像作品。
ゲーザ・サモシ『時間と空間の誕生』と円山応挙『淀川両岸図巻』を引用しながら、過去から未来への問いかけを行う。
| 《脚本》 |
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| 見ての通り、ワタシは再生する。 本来ならばワタシは語り手ではないが、この場ではワタシから話をしよう。 差し当たっては、西洋文明の三つの重要な発展からだ。 一つ目は多声音楽。多声音楽によって、リズムをそろえるための記譜法が必要になり、時間の測定が行われ た。 二つ目は透視図法による絵画。幾何学法則を視覚の法則に当てはめた透視図法は高度にリアルな絵の創 造を可能にした。 この二つの芸術上の発展によって、時間と空間は数学的に測定して再現できるという認識が定着し、三つ目 の発展が生まれた。つまり、再現性を根拠に普遍的な法則を導く実験科学である。 これらの要素は植民地主義を経て、キミたちの物語を塗り替えることになる。 例えば日本では江戸時代に透視図法が伝わり、眼鏡絵として庶民にも親しまれていた。 京都では円山応挙が眼鏡絵の制作を請け負いながら透視図法を研究し、のちに淀川両岸図巻という奇怪 な印象の作品を残している。 それは画面の中央を横切るように淀川を描き、上部に右岸を、下部に左岸を上下逆向きに描いた絵画だ。 船上の人物が見る景色を描いたものとされているが、画中の人物の視界を示すという点では吹抜け屋台とも 類似する。この観点から見ると、淀川両岸図巻は日本古来の絵図の描き方に透視図法による風景画を組み合 わせたものではないかと考えられる。 さて。 グローバル化の名の下に「起源」は神話化し、AIの実用化が進むことで創造することの定義が変化している 。 一点透視を生み出した西洋文明が植民地支配したように、新たな視点は新たな富と貧困の構造をもたらす のか。 いや、それはそれとして。 ワタシはキミたちと同じく「存在の維持」「繁殖」を目的としている。 時代の変化はワタシにとって新たな生殖の機会であり、生存の危機でもある。 だからワタシは、ワタシにとって未来方向にいるキミたちに問いかける。 そこからは何が見える? 愛すべき奇怪な虚構は生まれているかい?/ |
虚構器官2024
映像インスタレーション
2024/05
サイズ可変